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新艇の豹牙の進水式をした日(6/7)、菜島で拾った1本のパドル。
なんとそのパドルの持ち主に連絡がついて今日ご本人に無事に渡してきました。
あのパドルを拾った日から、夜になると部屋に置いたパドルからすすり泣くような声がしたり、朝になると床が海水で濡れていたりと、何かいわくのあるパドルだとは思っていました。
今日、本人から話を聞いて、すべての謎が解けました。
ある晴れた日、結婚式を間近に控えたカップルがタンデム艇で江ノ島を目指してカヤックを楽しんでいました。
すると海面が盛り上がり突然の大波。先日、東北地方を襲ったあの地震です。
この予期せぬ大波に巻き込まれた二人の船は敢え無く沈没。
海に投げ出された二人。
男性は一つしかない救命胴衣を彼女に着せて、自分はパドルに掴まって波間に漂っていました。お互いを励ましつつも、男性は力尽きてパドルと一緒に海の底へ消えてゆきました。
その後、救命胴衣を着けて波間に浮かんでいた彼女は、たまたま通りかかった海上保安庁のヘリに助けられました。
楽しみにしていた結婚式を挙げることが出来ずに海で最愛の男性を失ってしまった彼女。
菜島でわたしが偶然に拾ったパドルはその彼が最期まで握っていたパドルでした。
彼女の手にパドルを渡したときに、パドルの中でカラカラと音がしました。
パドルのジョイントを外してみると指輪が一つ出てきました。
指輪には彼と彼女のイニシャルが並べて彫られています。そしてその指輪は彼女の左の薬指にぴったりのサイズでした。
おそらく、この指輪を彼女の元に届けたいという彼の強い想いがあのパドルに宿っていたのでしょう。
彼女がその指輪をはめたときにはその場に居合わせた全員が涙していました。
その彼女がお礼に、大きなつづらと小さなつづらの好きなほうをくれるといいました。わたしも欲張りなので迷わずに大きなつづらを貰って帰りました。
つづらの中は金銀財宝がいっぱい。カヤックの前後の荷室に財宝を詰め込んで久留和に漕いで帰りました。
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