後悔日誌 (本当は航海日誌のつもりなんだけど)

2003年6月21

新艇の豹牙の進水式をした日(6/7)、菜島で拾った1本のパドル。
なんとそのパドルの持ち主に連絡がついて今日ご本人に無事に渡してきました。

あのパドルを拾った日から、夜になると部屋に置いたパドルからすすり泣くような声がしたり、朝になると床が海水で濡れていたりと、何かいわくのあるパドルだとは思っていました。
今日、本人から話を聞いて、すべての謎が解けました。

ある晴れた日、結婚式を間近に控えたカップルがタンデム艇で江ノ島を目指してカヤックを楽しんでいました。
すると海面が盛り上がり突然の大波。先日、東北地方を襲ったあの地震です。

この予期せぬ大波に巻き込まれた二人の船は敢え無く沈没。
海に投げ出された二人。

男性は一つしかない救命胴衣を彼女に着せて、自分はパドルに掴まって波間に漂っていました。お互いを励ましつつも、男性は力尽きてパドルと一緒に海の底へ消えてゆきました。

その後、救命胴衣を着けて波間に浮かんでいた彼女は、たまたま通りかかった海上保安庁のヘリに助けられました。

楽しみにしていた結婚式を挙げることが出来ずに海で最愛の男性を失ってしまった彼女。
菜島でわたしが偶然に拾ったパドルはその彼が最期まで握っていたパドルでした。

彼女の手にパドルを渡したときに、パドルの中でカラカラと音がしました。
パドルのジョイントを外してみると指輪が一つ出てきました。
指輪には彼と彼女のイニシャルが並べて彫られています。そしてその指輪は彼女の左の薬指にぴったりのサイズでした。
おそらく、この指輪を彼女の元に届けたいという彼の強い想いがあのパドルに宿っていたのでしょう。

彼女がその指輪をはめたときにはその場に居合わせた全員が涙していました。

その彼女がお礼に、大きなつづらと小さなつづらの好きなほうをくれるといいました。わたしも欲張りなので迷わずに大きなつづらを貰って帰りました。
つづらの中は金銀財宝がいっぱい。カヤックの前後の荷室に財宝を詰め込んで久留和に漕いで帰りました。


お礼に貰った大きなつづら↑。豹牙の前後のハッチは財宝でいっぱいです↑
2003年6月7日
新艇の豹牙(ほうが)です。先週鹿児島から届きました。今日梱包を解いてその姿を見ました。
カラーオーダーは紫と白のグラデーション。
事前にイラストは見ていたのですがやはり実物の大きさで見ると印象はずいぶん違います。
なかなか上品な色に仕上がっていて満足です。

1年半前にヒートビートの時にも行いましたが、今回も進水式は厳かに神式で行います。米、塩、榊、神酒を備えて祝詞を上げます。
二拝四拍手して祓詞(はらいのことば)、次に祓短称詞(はらいのとなえごと)、二拝四拍手して神拝詞を唱えて黙祷。最後に神語を三唱して祝詞は終わります。
コックピットの横には梵字のステッカー。右舷には不動明王、左舷に阿弥陀如来。
風水の護符も焚きました。
神道、真言、道教と神様のごった煮状態です。これだけやって置けば安心です。どんな災いも逃げていくでしょう。

儀式は潮の満ちてくる時間帯に行わなくてはいけないので朝の6時半に行いました。7時に久留和を出てまず森戸神社に参拝。

神社に航海安全の参拝をして菜島に向かいました。
ちょうど満潮の時間で菜島は上陸できる場所はごくわずかです。
その小さなスペースに艇を上げて用意しておいたサンドイッチとコーヒーの朝食。
音楽を聴きながらくつろいで艇を出そうと思ったら波打ち際にカヤックのパドルが浮かんでいます。
誰かがパドルを流しちゃったんでしょうか、けっこう使い込んでいるパドルです。それとも古くなったので捨てちゃったのでしょうか? とりあえず漂着した粗大ゴミをそのままにできなかったので拾ってきました。心当たりの方はご連絡ください、一週間くらいは連絡をお待ちします。(メーカーはアクアテラ、220cm)
わたしの場合「あなたの落としたのはこの銀の斧ですか、それともこっちの鉄の斧ですか?」と女神に聞かれたら、迷わず両方貰って帰ります。そういう自分に正直な性格ですのでぜひご理解ください(?)。
もしかしたらひどく因縁のある恐ろしいパドルなのかもしれません。念のため風水の破邪退魔の護符を貼ってあります。